【書評】2ちゃんねらーVSドラッガー 〜イノベーションと企業家精神〜
どの株が上がるか、どの企業が成長していくか。
正直わからないです・・・。でも、この人の本を読むと、なんとなく、「売れるべくして売れる」「伸びるべくして伸びる」という事はわかる。
実は、「もしドラ」は読んだ事がない。
ドラッガーの本はものすごく読みやすいので、わざわざマッシュアップのようなものを読む必要もないな・・・と思ったからだ。マッシュアップは「高慢と偏見とゾンビ」で十分。
特にこの「イノベーションと企業家精神」は面白い。
今回は「今更『もしドラ』を読むのはちょっと・・・でもドラッガーの本も読むの面倒だなぁ」という方に向けて、このドラッガーの著作をざっっっくり読み解いていきたい。
イノベーションとは?
まず、この本のタイトルでもある「イノベーション」とはなんだろう。こういった横文字が大好きだった団塊世代上司たちは今、意味もわからず「SDGs」のピンバッチをつけてご満悦なので、ここでしっかり理解して見返してやりたいところである。
イノベーション(英: innovation)とは、物事の「新結合」「新機軸」「新しい切り口」「新しい捉え方」「新しい活用法」(を創造する行為)のこと。一般には新しい技術の発明を指すという意味のみに理解されているが、それだけでなく新しいアイデアから社会的意義のある新たな価値を創造し、社会的に大きな変化をもたらす自発的な人・組織・社会の幅広い変革を意味する。つまり、それまでのモノ・仕組みなどに対して全く新しい技術や考え方を取り入れて新たな価値を生み出して社会的に大きな変化を起こすことを指す。
とある。
(価値観も常にアップデートされていくために)既存のままで居続けられる物事はほとんどない。
例えば、地面の中にある最も価値のあるものはなんだろう?
金?ダイヤモンド?それとも化石だろうか。もしくは、ただの石でも、ある人が手を加え作品とすることでこれらの中で最も高い額で落札されるかもしれない。
この例え話は落合陽一さんの著作であったものだが、価値づけを行う人や時代によって、価値は案外ころころと変わってしまうことのいい例だと思う。
常に「誰が価値づけの権利を握っているのか?」を考える感度を身につけたいものである。
ドラッガーの「イノベーション7つの機会」とは?
1、予期せぬことの生起
2、ギャップの存在
3、ニーズの存在
4、産業構造の変化
5、企業・産業外部における事象の人口構造の変化
6、認識の変化
7、新しい知識の出現
であるらしい。
「働いていれば普通に意識していることばかりだよ・・・」とお思いの方もおられるだろうが、それだけ、きっかけはいつも同じということだ。
矛盾しているようだけども、「イノベーション」は同じように繰り返されているということを、世界で知らぬ人はいない経営学者が示している。
イノベーションのきっかけは、先読みしやすいものもあるし、私のような凡人はそこから時代の潮流を考えていかなけれなばならないなぁーと思っているわけです。
例えば5番目の「人口構造の変化」などは、急激に変化することはまずないし、「最大の年齢集団の変化」→「人工の重心の移動」を読むことは、ネットで人口ピラミッドを調べれば簡単にできる。
今、30代が最も人工の多い世代だとして、10年後、どこの世代が最も多くなるだろうか。
それはもちろん40代。当たり前だけど。
現在株価上昇の期待が高まっている国はどこも消費者兼労働者としての「若い世代の人口増加」が見込まれている。やはり、人がいるから社会ができて、その社会を変えるためにイノベーションがあるんだなぁ・・・。
陳腐化の天才 アップル社
ドラッガーは、「いくら古い体制が抵抗しようと、良いものはいずれ普及する」ということを示している。
以下の画像は、10年以上前、第一世代のiPhone発売当初のインターネット掲示板「2ちゃんねる」のあるスレッドでの会話だ。
今のiPhoneの普及率を知った上で見ると笑えてくるが、当時は「なぜiPodやiTunesというキラーコンテンツがあるのに、わざわざ敵対するような、既存の自社製品を陳腐に見せるような製品を作るのだろう」という意見があったのも事実。
しかし、商品や仕事の仕方、どれだけ良いサービスでもいずれ陳腐化する。ドラッガーは「自ら」欲しいものを提案し、まだ強みを持つ自社製品を陳腐化できる企業は強いと語る。
商品にしがみ付くのではなく、既存のものはどんどん破棄!
自分で自分の敵になるコモディティを作ることで、かの企業はいわゆる競馬場の「胴元」になった。どの馬が勝っても負けても、そこで馬券を買っている以上、「胴元」は必ず儲かる、というわけなんだろうな。
このように、ドラッガーの考えはなんだか小難しそうだけど、世界を席巻している企業の歩みを笑えるほど予見している。
興味が湧いたなら是非、実際の本を手にとっていただきたい。